パートナー企業 担当者インタビュー

Vol.03 東テク株式会社 新入社員研修に
里山保全活動を導入。
“体験”の機会づくりを
ミッションに

東テク株式会社
経営戦略本部
サステナビリティ推進グループ
(右から)課長代理 熊澤弥さん、
島津聖亜さん(広報・IRグループを兼任)

空調事業、計装事業、エネルギー事業を三本柱とする東テクは、「こころ豊かな快適環境を創造します」を存在意義と定め、⼈、社会、そして地球にとっての「ここちよさ」とは何かを常に問うと掲げる。2014年入社の熊澤さんは、人事部に長く在籍し、2024年に設置されたサステナビリティ推進グループでは初期より中心的存在として職務にあたる。島津さんは2022年に入社後、営業等を経て現職。熊澤さんの立案した里山保全の新入社員研修を受け、現在は企画・運営する立場に。写真で手にしているのはグループのキャラクター「ここちぃ」。

東テク サステナビリティ

毎年の新入社員研修に組み込めば、継続的におこなえる

東京八王子での新入社員研修に里山保全活動を取り入れられていますね。ユニークなお取り組みですが、どなたの発案で、どのような経緯で採用されたのでしょう。

熊澤さん発案は…というと、私ですかね。当社に現在のサステナビリティ推進グループができたのは2024年、私はその前の2020年にできた広報室に配属になりまして、サステナビリティ関連の取り組みも担当業務でした。SDGsが認知され、社会的な要請も高まる中で、当社としてなにをすべきか考えて、導き出された答えのひとつが森づくりでした。どのような形なら実現させられるか模索した結果、研修が良いのではないかと。

それで森ライに相談された。

熊澤さん実はすぐには森ライさんにたどり着けなくて、公的機関なども当たったのですが、活動の場所や枠組みの制限などで、実現に至りませんでした。動き出したのは、企画を森ライさんに持ち込んでからですね。竹垣さんに相談してすぐに、応えてくれる感触を持ちました。他社さんとの実績も申し分ありませんでしたし、ここと組ませてもらえれば大丈夫だと思いました。

「研修で森づくり」というのが、森ライに相談するうちに形づくられたのではなく、元々具体的な構想であったのがまずすごいですね。

熊澤さん実行するにあたっては、継続性が一番の課題だと思ったんです。森づくりという性質上、継続的に関わるべきではないかと。社内で有志を募る方法だと、担い手が安定的に担保できない可能性もありますが、新入社員研修に組み込めば、そこがクリアできますよね。もちろん、研修プログラムのメニューとしても意義のあることだと思いましたし、社内にはかった際にも否定的な意見は出ませんでした。

「研修だからやるしかない」という気持ちが、次第に変化していった

ご立派です。そして島津さんは、その研修を、新入社員としてお受けになられた。

島津さんそうなんです。当時は私自身の意識が低く、なぜこの活動に取り組むかをインプットされて頭では理解しても、「研修だからやるしかない」くらいの気持ちでした。ただ、実際に里山の整備に取り掛かり体を動かし出すと、だんだん心境に変化が起きるといいますか…。振り返ると、サステナビリティへの取り組みに自分自身がコミットする、いわゆる社会貢献活動への参加の初めての機会でした。その後は空調事業部で営業職に就くのですが、「サステナビリティ」のイメージは、以来ずっと、あの里山保全の活動だったくらいです。

でもそれくらい、“きっかけ”になったのですね。

島津さんまさにそうでした。

2023年から毎年実施されているので、新入社員の皆さんにも、社内的にも、評価されているということですよね?

熊澤さんそうですね。新入社員研修は1ヶ月缶詰めで行われるんですよ。その中であのような自然の中で体を動かす開放感、というもの間違いなくあるでしょうね(笑)。

島津さん研修を受ける新入社員同士も、皆それなりに緊張感がありますし、室内では両隣と前後の人くらいしか、そうそうコミュニケーションを取りません。それが里山だと雰囲気も大きく変わりますし、作業中にいろんな人と接するようになります。自分が立ち会う側になってみると、作業に取り組む新入社員の表情がだんだん変わって、最後は「あぁ、いい顔してるな」って。自分もそうだったのではないかと思います。

ファッションが好きで経済学部の卒論はファストファッションについてだった島津さん。業界が与える環境負荷に大きなショックを受け、洋服のリユース、リサイクルに努めるようになったそう。

自身の原体験から発想して、
価値観を共有できる森ライと

とても良いプログラムになっているようですが、熊澤さんご自身は、里山とか自然と近い環境にいらっしゃったのですか?

熊澤さん出身は横浜なんですけど、通っていた小学校の裏山に、授業の一環で竹を伐りに行ってたんですよ。あれが私にとって、身体を動かしながら学んだり発見したりの“体験”の原点になっていると思います。自然科学に興味を持って、大学で生物学を学んだのも、遡ればそのことがきっかけなんですよね。のこぎりの持ち方、切り方にも一つひとつに学びがありました。自分の子どもを見ていると、いまはかつてより体験の機会が減ってますよね。でも環境のことにしろ、実感を伴う体験からは、座学で詰め込む学習とは得られることが異なると思うんです。だから新入社員研修でも、そういう体験の機会をつくりたかったんです。

島津さんにとっても「機会」になりましたもんね。

島津さん本当にそう思います。私は兵庫県たつの市という山と川に囲まれた地域の出身なのですが、帰省すると少子高齢化が目に見えて進んでいて、山も放置されているのが気になるようになりました。近年は日本のあちこちでクマの出没が報じられていますが、たつの市でもシカの目撃情報が増えていたりと、環境の変化を感じます。そうしたこととサステナビリティをつなげて関心を持つようになっていきました。

熊澤さん竹垣さんは日本の森林問題の現場を知る方ですし、なおかつ“体験”ですとか体験にまつわる感覚的な部分の価値に重きを置いて活動されている点もありがたいと思っています。どこと組めば継続できるかを主眼に探し当てましたが、森ライさんでよかったです。

確かに、体験の提供というところは、森ライの得意分野であろうと思います。

島津さん研修当日の段取りなどでも、主体的に動いてくださるので、とても助かっています。

職務においては、自分の達成感をモチベーションにしないという熊澤さん。結果から得られることよりも、課題を考え抜いてやるべきことに集中するのだという。

担当として、体験の格差を埋めるために働きかける

熊澤さんは先ほど、子どもたちの体験の機会が減っているとお話しくださいましたが、そういった機会をつくるために、ご家庭で工夫されていることがあれば教えてください。

熊澤さん個人的にはいまも生物多様性が関心分野なので、例えば子どもが「とりだ」と言うじゃないですか、それに対し「とりじゃなくてスズメだよ」とか、「ちょうちょだ」と言えば、「アオスジアゲハだよ」という具合に、種(しゅ)を束ねずに固有の名称に、いつも言い直しています。生き物としての重みを感じてもらえたらなと。

それはすごくいいですね!確かに、生き物の多様性や、その尊さが感じられて、それぞれの特徴にも目が向きますよね。子どものうちはそこまで考えないでしょうが、そこから芽の出るタネになりそうです。

熊澤さんそうだとうれしいですね。

島津さんは、担当になられてから、ご自身の意識や生活に具体的な変化がありましたか。

島津さんサステナビリティへの意識は向上しました。身近なひとつのことが気になり出すと、ほかの事柄にもつながっていき、環境も、人権や、地域社会との共生といったことも、自分ごととしてとらえられるようになりました。力不足で、まだ社内全体に浸透させるまでには距離がありますが、多くの人にそういう目線を持ってほしいと願うようにもなりました。

熊澤さん社員それぞれが日頃の業務に忙しい中で、サステナビリティへの意識の浸透はまだまだ途上ではあります。担当としては、一人ひとりが何かしらの社会課題に目を向けてアクションを起こしてくれることをゴールにしながら、体験の格差を埋める働きかけをするのが主たるミッションだと思っています。きっかけがあれば、次があるかもしれないですから。

3年目となる2025年度の新入社員研修の参加者は約70名。八王子での里山保全活動で慣れない作業に汗を流した翌日は、振り返りの時間に充てられ、自社の事業が環境、社会に与える影響を考える。

森ライ竹垣より、取材を終えて

八王子での東テクさんの新入社員研修は、企業の森との関わり方のあらたな事例として、森ライにとっても発見の多い取り組みです。採用人数の増加とともに年々参加者が増えて、規模が大きくなってきました。今回のインタビューでは、企画が実行されるまでの熊澤さんの筋道の立て方をお聞きして感心させられ、島津さんの体験者としての実感に励まされもしました。体験の場づくりにおける現場力は、森ライをパートナーとする上での最大のメリットではないかと自負しているので、評価いただけて光栄です!

(2026年1月インタビュー)

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